伝統工芸鎌倉彫の世界
盆(ぼん) 皿(さら)
茶托(ちゃたく) 鉢(はち)

起源
鎌倉彫の起源は、鎌倉時代に遡ります。武家政治の中心であった鎌倉幕府は、中国の禅宗を積極的に取り入れ、建長寺、円覚寺を初めとする禅宗寺院を数多く建てました。禅僧の中国との交流が深まるとともに、中国から多くの文物がもたらされました。中に、漆を何回も塗り重ねた厚い層を彫刻する堆朱、堆黒や木彫り漆塗りの堆紅等、彫刻模様とともに刻み込まれた漆層の美を同時に表現した彫漆工芸品があり、その影響を受け、当時の仏師や宮大工たちが、寺院の須弥壇や前机、香合といった儀式具や調度品を彫刻し漆を塗り重ねたのが始まりです。
特徴
鎌倉彫の魅力は、手彫りで表現された刃跡の、ある時は繊細な、またある時は力強さや暖かさ、リズムなどさまざまな表情と、塗り重ねられた漆の潤いのある光沢と丈夫さです。昔からほとんど変わらない技術と材料で作られているため、醸し出される自然さ、素朴さと堅牢さが生活者の心をとらえます。
用途
盆、皿、茶托、鉢、手鏡、壁面パネルなど
鎌倉彫の作り方
丸盆、乾口塗り仕上げを例に見てみます。(写真提供:伝統鎌倉彫事業協同組合)
<木地作り>
木は主として桂を使用し、2年以上の自然乾燥を経て、盆、皿、茶托、椀など丸いものはロクロで成形する。
<彫刻>
小刀、平刀、丸刀、三角刀などを使い分け彫刻する。鎌倉彫では小刀を巧みに使いこなすことが多い。
<塗り(下地)>
彫刻完了後に木地面を調整し、木地全面に漆塗りをして塗膜基礎を作った後、炭粉または砥粉を蒔き付ける。
<塗り(中塗り)>
黒漆で2回行う。
<塗り(上塗り)>
透明度の高い透漆に、朱色の顔料を混ぜ合わせた上塗り漆を塗る。
<乾口とり(マコモ蒔き)>
上塗り面が生乾きの状態の時に、マコモ粉を蒔き付ける。
<艶出し(摺漆)>
付着したマコモ粉を研ぎながら、全体に古色がかった落ち着いた色調に仕上げていく。研ぎ出し面全面に生漆を塗り、直ちに綿布でよくふき取る。極薄いこの漆が乾燥した後、再び漆塗り、ふき取り、乾燥の工程を2〜3回繰り返し行い、艶出しを行う。
<完成品>
摺漆を繰り返しほどよい艶が出たところで完成です。数ある鎌倉彫技術の中で、乾口塗り仕上げは代表的手法です。上塗り工程で塗膜の乾き際に古色つけのマコモ粉を蒔き付けるので、ヒクチヌリと言います。

見学できるところ
◇鎌倉彫工芸館
1階ギャラリー/売店: 鎌倉彫製品の展示即売、漆工諸材料販売
鎌倉彫関連出版物・絵葉書・カレンダー等の販売
鎌倉彫及び漆器の修理
所在地: 鎌倉市由比ヶ浜3−4−7  TEL:0467−23−0154
開設時間: 9:00〜17:00
休館日: 日祝祭日
料金: 無料
アクセス: 江の島電鉄和田塚駅徒歩1分
◇鎌倉彫会館
1階ギャラリーでは、鎌倉彫を展示しています。
所在地: 鎌倉市雪ノ下3−10−23  TEL:0467−25−1500
開設時間: 9:00〜17:00
休館日: 無休
料金: 無料
アクセス: JR鎌倉駅東口から徒歩5分
◇鎌倉彫資料館
室町時代からの名品約350点を所蔵し、常時130点ほどを展示しています。
所在地: 鎌倉市小町2−21−20  TEL:0467−25−1502
開設時間: 9:00〜17:00(入館締め切りは16:00)
休館日: 月曜、年末年始、夏期休暇(お問い合わせ下さい)
料金: 一般料金300円(団体割引有)
アクセス: JR鎌倉駅から徒歩7分 妙隆寺向かい

主要製造地域/ 鎌倉市、横須賀市、逗子市、藤沢市、横浜市ほか
企業数/ 213社(平成11年10月30日現在)
問い合わせ先/ 伝統鎌倉彫事業協同組合  TEL:0467−23−0154
鎌倉彫振興協同組合  TEL:0467−24−1411
鎌倉彫協同組合  TEL:0467−25−1500